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静かに、誇らしく、“和牛”が語りかけてくる場所があった。浅草・KOBE Beef Gallery。そこはただの展示ではなかった。まるで、日本の美意識そのものが息づいている空間だった。襖を思わせる仕切り、木の香りを感じる内装、光の差し込み方まで計算された構成。そのすべてが、日本の「和」の精神と、和牛という存在の“品格”を引き立てている。展示されていたのは、一頭の牛がたどる命の物語。どこで生まれ、何を食べ、どう育ち、どのように選ばれ、どんな技で仕上げられていくのか。それはまるで、茶道や書道、能の世界に通じる“道”の感覚だった。そのすべてを目にしたあと、ふと気づく。「和牛は単なる食材ではない」──それは、日本人の精神性そのものなのだと。そして今、世界中の美食家たちがこの“味の頂点”に魅了されている理由が、このギャラリーには、しっかりと可視化されている。美しさとは何か。美味しさとは何か。そして、日本人としての誇りとは。その答えを、この場所で一つ見つけられた気がした。