名前 |
観音坂黒鉛試掘坑跡 |
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ジャンル |
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住所 |
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評価 |
5.0 |
観音坂の十一面観音観音磨崖仏の近くには何箇所か陥没した場所があり、裏手に回ると大きな穴の跡があります。これが1900年に黒鉛を採取した観音坂黒鉛試掘坑跡になります。(穴の中まで行かないこと、陥没したら大変です。)過去において、日清、日露戦争、第二次大戦と黒鉛は常に不足しており、日本は観音坂の他に国内約400か所で試掘を試みたようです。ただか採算が取れ、高品質なものは見つからなかったようで、観音坂の黒鉛鉱山も試掘に終わりました。黒鉛鉱石は試掘坑のすぐ近くの壁を杖で軽くコンコンと叩くとすぐに落ちてきますね。黒い石の中にキラキラしたものがありますから鱗状黒鉛鉱石です。まさか石仏の裏に鉱山があるとは思いもよらないものです。さて、黒鉛というと地味なイメージがありますが、現代日本産業界では何にでも大量に使われています。電池、タイヤ、電炉、金型、火薬、機械部品、原子炉、電気自動車のバッテリー、鉛筆…。工業製品を開けて黒いものがあれば大体入っていると思ってかまいません。そのため、2022年、日本の内閣府は黒鉛鉱石を特定重要物資に指定しました。現在の日本の黒鉛使用の6万㌧ほぼ全てを隣国からの輸入に頼っていますからね…。黒鉛の価値、それはこの笠置の観音坂の黒鉛が掘られて120年経った今も変わりありません。