妙法寺の圧巻ドウダンツツジ。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
スポンサードリンク
| 名前 |
妙法寺のドウダンツツジ |
|---|---|
| ジャンル |
|
| 評価 |
4.0 |
| 住所 |
|
|
ストリートビューの情報は現状と異なる場合があります。
|
スポンサードリンク
周辺のオススメ
スポンサードリンク
スポンサードリンク
金沢の寺町にある妙法寺(みょうほうじ)には、ただの寺の庭木というにはあまりにもスケールの大きなドウダンツツジがある。正確には「妙法寺のドウダンツツジ」という金沢市指定天然記念物の巨樹で、推定樹齢は400年を超えるといわれている。妙法寺自体は、天正元年(1573年)に円智院妙浄(えんちいんみょうじょう)尊霊尼が開いた日蓮宗の寺院だ。この妙浄尼というのは、加賀藩初代藩主・前田利家の弟、佐脇良之の娘にあたる人物で、父が戦死した後は利家の養女として育てられ、後に前田家家臣に嫁いだ女性だった。その後に出家して仏門に入り、妙法寺を開いたという、いわば加賀藩ゆかりの寺院でもある。この寺はもともと尾張の荒子(現在の名古屋市)に創建された後、越前府中(福井県坂井市)、能登府中(石川県七尾市)と何度か移転を繰り返し、最終的に金沢の尾張町を経て、元和元年(1615年)に現在の寺町台に移ったという経緯がある。この「寺町台」は、当時の加賀藩三代藩主・前田利常が一向一揆対策や防衛、統制目的で金沢城の周囲に寺院群を集約配置した場所で、現在も約70もの寺院が集まるエリアとして知られている。妙法寺が今の場所に腰を据えたのも、その計画に沿った結果だった。そんな歴史ある妙法寺の境内、本堂裏手にどっしりと構えているのが、このドウダンツツジだ。正式な植物名は満天星躑躅(どうだんつつじ)で、日本各地の岩山などにも自生するが、これほど巨大に成長するのは極めて珍しい。木の高さは4.5m、根元の幹回りは1.7m、横に広がる枝張りは最大8.2mにもなる石川県最大級の古木である。もともとこのドウダンツツジは妙法寺が現在地に移った1615年頃に植えられたと考えられていて、400年以上の時間を、この寺町の地で生き抜いてきたことになる。実際にこの巨木を目にすると、その幹や枝ぶりの迫力に圧倒される。根元付近から東へ向かって4本の太い主幹が地を這うように横に伸び、樹冠はまるで扇を広げたような見事な半円形を描いている。春には小さな白い壺形の花が無数に咲き、その名の由来となった「満天の星」のような幻想的な光景をつくりだす。また、秋の紅葉の美しさも格別で、寺町でもこのツツジの紅葉が目当てで訪れる人は多いという。妙法寺のドウダンツツジが、これほどまでに長く健康に育っている理由は、その環境にあると考えられる。境内は周囲を杉木立や建物が取り囲んでおり、直射日光や冬の強風・降雪が和らげられ、地面は豊富な落葉から生成される腐葉土で常に養分が補給されている。そのため、もともと緩やかな生育をするドウダンツツジが、数百年かけてじっくりと大樹へと成長したのだろう。もちろん、長い歴史の中で寺や地域の人々が大切に保護管理を続けてきたという背景も忘れてはならない。妙法寺のドウダンツツジのように、市や県が単体の樹木を天然記念物として指定する例は珍しい。埼玉県さいたま市の正圓寺にも天然記念物のドウダンツツジがあるが、高さ・枝張りとも妙法寺のほうがさらに巨大であり、単株の庭園木としては全国屈指の規模を誇っている。また金沢市内では、この妙法寺のドウダンツツジのほかに、寺町エリアの松月寺(しょうげつじ)にある樹齢約400年の「野田の大桜」が1943年に国指定天然記念物になっている例もあり、この地域の寺院が古くからいかに樹木を大切に育んできたかを示している。妙法寺のドウダンツツジは、その規模の大きさや美しさ、希少性だけではなく、加賀藩の歴史を背景に金沢の城下町整備の歴史をも物語る文化遺産でもある。その価値は文化財として公式に認められているが、実際に寺町を歩き、妙法寺を訪れ、このドウダンツツジの前に立つと、数百年を超えてこの地に根を張り、町の変遷を見つめ続けてきた歴史の深さを肌で感じることができるだろう。これほどまでに歴史と自然が融合し、調和を保っている場所は、全国的にもそう多くはないはずだ。ぜひ一度、妙法寺を訪ねて、この見事な巨樹と静かな寺町の空気を楽しんでみてほしい。